危ない関係の危ない説明
日本語の「と」は、スペイン語の ”y” と同じですか、とスペイン語を母語とする外国人学習者のCちゃんから尋ねられた。akkiiは言った。そうねェ、「犬と猫」と言った場合の「と」は、英語の “and” と同じだから、スペイン語の ”y” と同じね、と。知識のあるところを披露したのだが、続けて、「父と散歩します」という場合の「と」は、英語の ”with” と同じだから、スペイン語では、なんて言ったっケ? と、ど忘れしたのでボケた。すると、Cちゃん、それは ”con”と同じです。“con mi padore” です、という。これは、スペイン語の勉強になった。 さらに、Cちゃん、「犬と猫」の「と」と「犬や猫」の「や」は、同じですよネェ、と聞く。ここで akkii は、はたと困った。”cantar y bailar” 、これは普通、「歌ったり、踊ったり」と訳されている。とすると、スペイン語の ”y” は、この場合、日本語の「や」と同じような意味を含むことがあるのでは、と少ない知識の中で考えたからだ。そこでCちゃんに、スペイン語談義の中でそのことを確認し、スペイン語の "y" は、日本語の「や」の意味も含んでいるとなると、「と」と同じとはいえないわネェ、と前言を訂正した。 次に、本論の「と」と「や」の違いについてである。「犬と猫」や「犬や猫」では存在が遠いので、ごく近くの「あなたと私」で考えてみた。「あなたと私」と「あなたや私」とでは、だいぶ違う。これは「と」と「や」の一字違いだけである。たとえば、「あなたと私は愛し合っている」とした場合と、「あなたや私は愛し合っている」とした場合とでは、この二つの文のニュアンスは、大きく違っている。日ごろ日本語を話している私たちは、このニュアンスの違いを知っている。ところが、このニュアンスの違いを外国人の学習者に教えるのは、容易ではないのだ。 「と」と「や」の違いを際立たせようとして、せっかく考え出した例文もまずかった。 このことも災いして、Cちゃんには、危ない関係の危ない説明をすることになってしまった。二人だけで愛し合っているのと、二人のほかにもっと人がいて、お互いに愛し合っているのが・・・??? 私たちが、なにげなく使っている「日本語」も、これを非母語話者に教えるのは、本当に難しい。
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