他言語の発音の難しさ・「好き」と「月」、“rice” と “lice”
英語圏からの日本語学習者には、日本語の「好き」と「月」の発音の違いが難しいという。これは、「月とスッポン」、「提灯(ちょうちん)に釣り鐘」ほどの意味の差があるから、事は甚大である。例えば、カップルが、港の見える丘の公園で朧月(おぼろづき)を眺めながら、「あなた月」と言った場合を考えてみよう。二人の関係は、濃密な関係というよりは、何か朧(おぼろ)な関係で終ってしまいそうである。これは、お互いに前後の雰囲気やコンテクストから意味を理解できれば別であるが・・・。
ところで、日本人にとっては、英語を話したり、聞いたりする場合に、一般に “r” と “l” の区別が難しいと言われている。これは、“r” の発音が日本語の子音にないからである。韓国語や中国語には、これらに近い発音の子音がある。したがって、韓国語や中国語を母語とする人たちには、一般にこれらの子音を比較的簡単に発音して、聞き分けることが容易である。ところが、日本人にはこれが一般に困難であることから、国際的に見て「日本人は英語が下手である」という烙印を押されてしまっている大きな要因の一つになっているようにも思われる。これは、日本人に対する英語教育上の大きな課題でもある。
日本語のラ行の子音は、英語の “l” の子音に近い。したがって、日本人が一般に「米」を意味する「ライス “rice” 」を発音しようとすると、英語でシラミの複数形を意味する “lice” になってしまう。これでは話し手にとっても、聞き手にとっても、シラミに取り付かれているような隔靴掻痒(かっかそうよう)の感を拭えないであろう。
この “r” と “l” の違いを、日本人が発音として矯正する場合には、“r” を発音する場合に、日本語の “l” に近い発音のラ行音の前に「ウ」の音を入れて、「ゥライス」と発音するという便法がある。こうすれば、世界の通用語としての英語としては、“r” の発音として、通常は意味を十分に把握してもらえるであろう。そして、英語の学習者にとっても、常々、この違いを意識して発音し、また、聞いていれば、“r” と “l” の違いは、自(おの)ずと身に付いてくるであろう。 “right” や “light” 、“reader” や “leader” 、“crowd” や “cloud” 、 “frog” や “flag” 、 “free market” や “flea market” 、 “road” や “lord”、 “ready” や “lady” などで意味の違いや発音の違いを調べ、試してみるのも一興だ。
これは、英会話を学習する初学者には、ぜひ試してみることをお勧めしたい方法である。
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