中国人元証券会社員と情報管理
野村證券(証券)の中国人元社員ら3人が、証券取引業法(現在は金融商品取引法)違反(インサイダー取引)の罪で東京地検特捜部に逮捕された事件では、報道によると、その後の調べで、中国人元社員らは46銘柄ものM&AやTOBなどの機密情報を事前に知り、投機的に株式の売買を繰り返し、約5,000万円もの利益を得ていたことが分かった。
この証券会社の社員として知りえた機密情報は、逮捕された3人以外の人や組織に漏洩していなかったのだろうか。一般に中国人は、エスニシティからくるアイデンティティが強固で、エスニック・グループのネットワークを大事にする。そのネットワークにM&AやTOBなどの機密情報が漏れて、利用されていたことも考えられるのではないか。株式市場が、一部の投機的な人間に利用されて、その者たちだけが確実に暴利を得たとしたならば、これほど不公平なことはない。これでは株式市場は、投資家に見はなされて憤死する。
野村證券は、この46銘柄もの上場会社の株式にまつわる機密情報が利用されたインサイダー取引を、個人の犯罪であるとしている。しかし、ここでは、野村證券の証券会社としての顧客の機密情報の管理や従業員の管理が、きちんとされていたかどうかが問題となるであろう。
ここで特に問題なのは、個人が証券会社の社員として知りえた上場会社の機密情報で46銘柄もの株式売買が繰り返されていたということである。そのうえ、この機密情報は、弟や友人にも漏洩していた。これでは、この他にも類似のケースが起こりうるのではないか。そして、それが起きていても、露見しなければ、やり得ということになるのではないか。
中国人元社員らは、この機密情報により、富士通が完全子会社化した富士通デバイスの株式7千株を事前に1,169万円で購入し、多額の利益を得ていることが分かっている。
株式の投機で、事前にその株式相場が上がるか下がるかの情報が分かれば、暴利を得ることはたやすい。しかし、これは、市場の中で一般大衆投資家も巻き込んで、相場が形成されている株式市場にあっては、許されることではない。
今回の野村證券元中国人社員らによるインサイダー取引事件の解明を契機に、関係当局には、この事件の構図とことの真相を詳細に究明し、証券会社のあり方をしっかりと検証してもらいたい。
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