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日本は泥舟に乗っていないか?

  国際情勢を考える上での参考文献2点をここに紹介したい。廉価な新書版として発行されながら、学術書としても優れ、凄くインパクトの強い内容がある。日本が今、世界の中に置かれている立場を考え、その置かれている立場を窮状と認識し、その打開策を考えるために、たいへん参考になる文献である。

 後記(1)の文献は、日米構造協議などを通して、かの超大国が日本に突きつけた様々な要求につき、かの超大国で公開された公文書で検証しながら、「アメリカの日本改造が進んでいる」と表現している。そして、その要求の背景にある、かの超大国のロビイスト(政治圧力団体)や、その目論見をも解析している。また、今、問題となっている公認会計士制度や時価会計、弁護士大量増員問題などにも言及し、優れた分析力と慧眼で鋭く論破している。

後記(2)の文献は、現在もアフガニスタンとイラクで戦争を行っている、かの超大国の「戦争」に関するスタンスなどを中心に、サブタイトルを「戦争はどう利用されるのか」として、かの超大国が戦争を仕掛ける動機やプロセスなどにもメスを入れ、解析している。

(1)2004年4月 『拒否できない日本(アメリカの日本改造が進んでいる)』 関岡英之 著、文春新書、\700(税別)、文芸春秋社

この本のカバーの袖には、次のように書かれている。

―――建築基準法の改正や半世紀ぶりの商法大改正、公正取引委員会の規制強化、弁護士業の自由化や様々な司法改革・・・・。

これらはすべてアメリカ政府が彼らの国益のために日本政府に要求して実現させたもので、アメリカの公文書には実に率直にそう明記されている。近年の日米関係のこの不可解なメカニズムのルーツを探り、様々な分野で日本がアメリカに都合のいい社会に変えられて来た経緯を、アメリカの公文書に則して明快平易に描く。――― 

  著者の関岡英之氏は、異色の経歴を持つ。この文献では、大学法学部を卒業後、銀行で国際金融取引などをした知識と経験を踏まえ、また、その後、大学院で建築に関する工学を研究した学識と経験を踏まえて、明快で言葉巧みな表現により、日本の置かれた立場を検証し、解析している。現在は、評論家として活躍し、大学客員教授をしている。

(2)2008年3月 『アメリカの世界戦略(戦争はどう利用されるのか)』

菅 英輝 著、中公新書、\70(税別)、中央公論新社

この本のカバーの袖には、次のように書かれている。

―――2003年3月、ブッシュ政権は対イラク戦争に踏み切った。世界の平和と安全を説く国がなぜ先制攻撃を仕掛けるのか。そこには、冷戦終結後、EUと中国の挑戦を受けるなか、圧倒的な経済力と軍事力をもとに世界一極支配を目指すアメリカの戦略がある。本書では朝鮮戦争からヴェトナム戦争、そして「ブッシュの戦争」に至るアメリカ式戦争の特徴と問題点を、政策決定者たちの証言を交えて分析し、「帝国」の今後を展望する。―――

  この本の著者、菅 英輝氏は大学教授である。この文献は、正規の学術論文としての体裁をとっているため、表現が難解に感じられる部分があるかも知れない。しかし、目次を見て、興味を持てるタイトルの章から読み進めると、分かりやすいであろう。巻末の「アメリカの戦争」という関連年表も参考にしたい。

これらの文献は、新書版であり、廉価であるうえ、ボリュームも少ないが、それぞれが名著であり、学術書としても優れている。日本の今を取り巻く安全保障問題や国際間の経済問題などの世界情勢を考える上でも、ぜひ、読んで参考にしていだだきたいと思う。

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