日本の安全保障と毒入り餃子事件
三公社五現業といわれた時代の公社の一つ、日本専売公社は、現在、民営化され、また、改編されてJT、つまり日本たばこ産業となっている。このJT傘下のJTフーズが中国の食品製造会社、天洋食品から輸入した餃子に致死量を超える毒物が混入していたため、日本各地でこれを食べた人たちに食中毒が発生したのは、この冬のことであった。
この食中毒事件について、日本の警察が科学的捜査をした結果、この毒物は日本では製造されておらず、また、外装の包装フィルムは毒物を透過しないため、この毒物は、餃子製造過程で包装される前に餃子に混入されたものであることが証明された。しかし、この結果が中国側に伝達されると、中国側から、日本の警察の科学的分析を否定する、一方的で理不尽な回答があった。つまり、中国国内では、食品製造過程の管理が徹底しているため、毒物が混入されることはない。外装フィルムは毒物を透過する場合がある。日本の流通過程で毒物が混入したものではないか、というものであった。そして、日本の警察からの合同捜査の要請と日中共同での科学的分析結果のすり合わせの申し出を中国側は拒否していた。
しかし、今、中国製餃子への毒の混入は、やはり中国国内での犯行である疑いが濃厚になった。これは、製造会社の天洋食品が、日本への輸出がストップしたため、やむなく回収した餃子が、どういう訳か中国国内で流通し、これを食べた中国人の間で食中毒が多数発症したことで分かった。この中国国内で食中毒があった事実と、毒物が中国国内で混入された疑いが濃厚である事実は、中国当局から日本側へ1か月以上前に伝えられていたという。
この事実を、日本政府は、国民に知らせないままで1か月以上も秘匿していた。なぜだろう。これは、重大問題だ。なぜならば、中国製毒入り餃子事件は、日本へ向けられた中国国内からの無差別毒殺テロであるからだ。天洋食品が製造していた餃子は、日本語が表示されたパッケージに入れられ、日本に輸出されるものであることは、餃子を製造している従業員には知悉されていた。日本で食べられる餃子であることが分かっていた上で、毒を混入させたのである。日本では、誰の口に入るか分からない。日本人を狙った無差別毒殺テロである。
これは、食の安全の問題というより、無差別テロの問題である。犯罪捜査という以前に、無差別毒殺テロの疑い、蓋然性は、国民に速やかに知らせ、再三、注意を喚起すべき事案であろう。中国側も、当初の見解を改め、中国国内での毒物の混入の疑いを認めているのである。
こんな重大な事実を、なぜ、日本政府は国民に知らせないままでいたのであろうか。この事実は、読売新聞により、スッパ抜かれたという。
日本の国家としての安全保障は、その時々のゴマすり外交や揉み手外交の方針で歪められてしまうのであろうか。外交が必要なのも、国民、そして国家を守るためではないか。今の自公政権は、あまりにも国民をバカにしていないか。この国の安全保障は、まことに危ぶまれる事態である。きちんとした政府が望まれる所以(ゆえん)である。
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