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国産旅客機製造の悲願達成には、政府が資金を援助すべきだ!

 昨今、マネーゲームに明け暮れていた世界の金融機関などの、架空経済の取引の横行が巷間を騒がす中で、対極にある実体経済の世界で実績を積み上げていた日本の自動車産業は、優秀であると聞く。日本の自動車は、世界の中で高い評価を得ている。故障が少なく、燃費がよいうえ、操作しやすいという。このような優秀な自動車を造ることができる日本には、優秀な航空機を造る技術とノウハウが今でも十分に備わっていると思う。

れは、日本には、ゼロ戦や飛竜などの優秀な国産航空機を造ってきた実績と歴史があり、これが、現在の優秀な日本製自動車を造るための技術とノウハウの基礎となってきたと言われているからだ。(参照:NikkeyのBPnet「時評コラム」、猪瀬直樹氏の「眼からウロコ」、「日本は航空主権を回復する必要がある。」)

 ところが日本では、国産のプロペラ機であった旅客機、YS-11が世界の空を飛び回っていたにもかかわらず、製造を中止してしまっているのである。もし、この飛行機の後継機を開発し、さらにジェット機の製造を模索していれば、日本は、それまで蓄積された技術とノウハウを持続、発展させながら、もっと輸送量が多くて、燃料効率のよい、安全な飛行機を製造し続けていたであろう。そうすれば、世界の空には、もっと安全な航空機輸送が確保されていたと思うのだ。

 現在、日本では三菱重工やホンダ、富士重工などが、それぞれ国産の航空機事業を推進している。また、IHI(もと石川島播磨重工)は、国産軍用機のエンジンを開発している。そして、ヤマハ発動機は、農薬散布などにも使える無人操縦ができるヘリコプターを製造している。この中でも三菱重工は、MRJ(三菱・リージョナル・ジェット)といわれる近距離用の小型国産旅客機の開発を推進しているのだ。

  しかし、一私企業がそれぞれにこの国産の航空機を造る事業を推進するには、いろいろな高いハードルがあるであろう。まず、第一に開発資金の問題、第二に製造技術の問題、そして、第三に販売方法の問題、さらに、第四に国産機開発のモチベーションの問題などである。

  第一の開発資金の問題であるが、旅客機製造となると、研究開発費の膨大さもさることながら、製造ラインも大掛かりになり、先行投資が莫大になる。これは、持続的に製造と販売で企業活動が円滑に回り始めるまでには、その莫大な資金を手当てする必要があるからである。これには、国家的プロジェクトとして、政府が資金援助するのが望ましい。つまり、政府が主導して、資金援助を行うべきであろうと思うのだ。

  第二に製造技術の問題である。日本は、流体力学や航空工学、構造力学、素材工学などに関する技術やノウハウの研究開発に優れている。しかし、航空機製造に関する技術の全てを一私企業に委ねるのは、余りにも荷が重過ぎると思うのだ。航空機の製造には、新規の技術開発のみならず、特許権や意匠権などの知的所有権に関わる問題もあり、複雑である。ここは、産業技術総合研究所などの3つ以上の機関に航空機製造のための技術とノウハウの研究成果を蓄積させ、国家的プロジェクトとして実施すべきであろう。

  この3つ以上の機関とは、研究成果を蓄積させる機関であるが、これは、鼎立(ていりつ)以上で、つまり3つ以上の複数であることが望ましい。それは、第四のハードルにも関係することだが、国産航空機開発のモチベーションに対し、技術的な問題などで、他国からの切り崩しや妨害にあった場合に、防戦する力を温存し、挑戦し続けるモチベーションを持続させるためである。

  第三に販売方法であるが、かの超大国では、政府機関が自国製の旅客機や軍用機の販売を推進している事実がある。政府機関を動員して、外交問題に絡めてセールス活動を行っているのだ。したがって、日本勢が航空機部門で世界的な販売の中で競争するには、やはり、国家的プロジェクトとして実践しなければ、勝算はおろか、また、製造中止されたYS-11の二の舞を踏むことになってしまう危険がある。ここには、国の関与、サポートが大事であろう。

  第四に国産航空機開発のモチベーションの問題である。株式会社であれば、その目的は利益追求が第一義であろう。だとすれば、営業戦略として、他の事業部門で利益をあげることとの衡量から、国産航空機製造部門の発展拡充の勢いが減衰させられ、開発のモチベーションが低下したり、消滅したりすることが考えられる。これは、他国の航空機製造会社やその会社を擁する国家からの切り崩しにあった場合などである。たとえば、ボーング機の主翼の一部や尾翼の一部などの製造委託や、自動車や重機などの受注と引き換えに、国産旅客機の開発の断念を迫られるなどの場合である。

  これを防止するために、国産航空機の製造には、企業グループを結集させ、2社以上の国策会社を立ち上げることが効果的であろう。そうすれば、これらの国策会社は、国家的プロジェクトとしての資金や技術などのサポートのもとで、お互いに競争しながら、速やかに、優秀で安全な国産航空機を、安定的に製造できるであろう。なお、航空機には、ジェット機ばかりではなく、地方の短い滑走路でも利用できるプロペラ機やヘリコプターもあるのだ。そして、旅客機には、遠距離用もあり、大型機もあるのだ。日本の航空機製造会社には、製造する機種にバリエーションを持たせ、これらの製造も手がけて欲しいものである。

 製造した航空機の需要が見込めないというのであれば、日本の航空機産業を金縛りにしてきた「武器輸出三原則」を見直し、他国にも自由に販売できる道を模索するのも一考であろう。日本の航空機が輸出されたからといって、戦争の危険を増大させるものではない。なぜならば、日本が輸出しなくても、かの超大国が大量の戦闘機や武器弾薬を輸出しているからである。かの超大国の占領政策のもとで押し付けられた原則は、見直す時期に来ていると思うのだ。

  国産の航空機製造の悲願は、外圧をはね退けるためにも、政府主導による国家的プロジェクトのもとで行うべきである。技術立国といわれる日本には、国産航空機製造の優れた技術とノウハウを国家の政策目標として蓄積すべきである。それは、その技術とノウハウが、日本の他の製造業にも、大いに役立つと思うからである。また、航空機産業の裾野は、広大に広がるため、日本の製造業を支える中小零細企業にも活気をもたらし、実体経済の発展に大きく寄与してくれると思うからである。

その結果として、日本は、世界の空でより安全で確実な航空機輸送力を確保することに、大いに貢献することであろう。

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