海外ロングステイの落とし穴に落ちないために
海外ロングステイには落とし穴がいっぱいあり、それが待ち構えている。海外ロングステイで失敗しないためには、この落とし穴に落ちないように十分注意することが必要だ。
まず、落とし穴として待ち構えているのは、異文化の実態を最初に肌身で感じた際のカルチャーショックだ。これは、外国の異文化の様相を知らないままで、現地でロングステイを始めることからくる弊害だ。これは、うつ状態などの適応障害にまで発展する可能性があるのだ。
このカルチャーショックの激震に見舞われ、ロングステイを途中で投げ出してしまう人が多い。この激震を緩和するためには、あらかじめその異文化の様相を知っておく必要がある。それには、文献研究と現地視察が重要だ。
ロングステイを薦めるパンフレットや案内本を読んだり、ロングステイの宣伝のためのプロモーション・ビデオを見たりするだけでは、ダメである。これらにより、ロングステイの素晴らしさだけが強調されることにより、間違った情報を受け付けられてしまう恐れがあるからである。
文献としては、現地の実態を文化人類学的視点や社会学的視点、地理学的視点、そして、歴史学的視点などから記述した学術的な書籍が参考になる。それらには、その国の民族や文化、社会、歴史、政治、気候風土などについて、その実態を客観的に記述しているものが多いからである。
学際的な視点で書かれた紀行文も参考になる。ただし、興味本位で書かれた紀行文は、読者が読んで楽しめる点が強調されていることがあるので、注意が必要だ。
現地視察としては、旅行会社などが主催する現地の下見ツアーなどもあるが、それに参加しただけでは、ダメである。なぜならば、下見ツアーは、ロングステイを勧誘することを目的にプログラムされており、参加者のロングステイへのモチベーションを高めるためだけに企画されている恐れがあるからである。
また、その下見ツアーは、参加者に、見て不愉快な異文化の実態を知らせないままに、ロングステイが素晴らしいという点だけを強調して、間違った情報を植えつけられてしまう恐れがあるからである。
また、現地視察としては、旅行会社が主催する海外旅行ツアーに参加することも有効であるが、これも異文化の実態の一部しか見ないで終わってしまう恐れがある。なぜならば、旅行ツアーは、参加して楽しめるという視点から企画されていることが多く、見て不愉快な異文化の実態を参加者に触れさせないという懸念があるからである。
したがって、現地視察は、自分の目で実地に調査することが重要である。これには、バックパッカー的な旅行が効果的である。旅行会社やロングステイを勧める業者のツアーから完全に離脱し、自分の目で現地を見て、体験することが必要なのだ。
また、カルチャーショックの激震を避けるためには、ロングステイの試行期間ないしは助走期間を設けて、徐々に現地の気候風土や社会や文化に馴染んでいくことが必要である。
これには、いきなり長期滞在のビザを取得して、ロングステイに入るのではなく、現地に観光目的で入国した場合に許可される30日や3ヶ月などの滞在可能日数を使い、宿泊料金の安いホテルなどに泊まって、現地で実際に生活してみるのが良い。国によっては、1年間に実質的には6ヶ月までビザなしで滞在できることもある(マレーシア)。6ヶ月とは約180日である。十分に長い期間であるから、これを活用してみよう。
そのほかにも、ロングステイの落とし穴は沢山ある。現地のアコモデーション確保のための不動産取引で詐欺に遭うなどの問題や、娯楽として享受できる日本語放送のテレビ番組があるかどうかなどや、公共交通機関などの社会的インフラの整備状況、現地の日本人コミュニティーの問題など、沢山の落とし穴があるのである。
「落とし穴」とは、「陥穽(かんせい)」とも言う。これらの陥穽に落ちないように、入念な対策を練り、準備万端整えてロングステイを始めることが、ロングステイを成功させるための秘訣なのである。
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