失敗しない海外ロングステイのために
海外にロングステイを始めると、異文化コミュニケーションの努力をしなければならない。日本と外国は、文化が大きく違う。すぐ近くにある東アジアの国々でもそうだ。東南アジアの国々は、もっと違う。アングロサクソンの文化が色濃いオーストラリアやニュージーランド、カナダなどもそうだ。その結果、ロングステイを始めると、大なり小なり、カルチャーショックを受けることになるのである。
その強烈なカルチャーショックを回避するためには、事前にその異文化の有様を知っておくことが必要である。いろいろな文献を通じて、また、記録映像などを通して、現地に出向かなくてもできる学習方法があるのだ。
ここで注意しなければならないのは、ロングステイのための宣伝用パンフレットや案内本、それにプロモーション・ビデオなど宣伝用ビデオを見ただけでは、本当の学習にはならない恐れがある、ということである。それらの資料は、ロングステイをしたいというモチベーションを高めることを目的に制作され、都合の良いところだけを説明したり、案内したりして、本当の異文化の様相を伝えていない恐れがあるからである。
この学習には、文化人類学や社会人類学的視点から、また、歴史学の視点から、ありのままにその国家や民族の歴史、文化、宗教、社会、政治などについて述べている文献が役に立つ。この文献としては、学際的な観点からの紀行文なども役に立つであろう。ただし、興味本位に書かれた紀行文には注意が必要だ。
そして、その上で、実際にロングステイしたいと思う海外の現地を訪ね、自らが実地に調査し、異文化の様相を検証しておくことが必要だ。そうしておけば、異国でロングステイを始めても、カルチャーショックが小さくて済むであろう。
このロングステイの現地調査には、旅行業者が行うロングステイの下見ツアーや海外旅行ツアーに参加しただけでは、ダメである。それは、そのツアーの目的がロングステイの宣伝であったり、楽しめる海外旅行として企画されたりして、見て不愉快な、本当の現地の異文化に参加者を触れさせない恐れがあるからである。特に下見ツアーの参加者は、本当の異文化の様相を見せられないで、判断を狂わされる懸念があるのだ。
ロングステイを志すロングステイヤーが、これらの異文化の様相を知らないままで、現地で生活を始めたとしたら、カルチャーショックの激震に見舞われる恐れがあるのだ。特に、海外移住などを考えて、5年間や10年間などの長期滞在ビザの取得を目論んで、ロングステイを始めた場合には、悲惨な結果となる場合があるのである。途中でロングステイがいやになったりしてロングステイをあきらめ、現地に投下した資金の回収もできないで、夢に描いたセカンドライフを惨めにも後悔の念の淵に沈めることになる場合がるのだ。
その結果として、臨床心理学で言う自我防衛機制の合理化などが発生する。あのイソップ物語にでてくるキツネの「すっぱいブドウ」の反応のようにである。自分がその海外で生活を始めたのは、そこが素晴らしいからだ、楽しいからだ、そして、便利で快適だからだ、と自分に言い聞かせながら、長い日々を過ごすことになる恐れがあるのである。
それを回避するためには、事前に入念な現地調査を自らが行い、できるたけ客観的な目で異文化の様相を捉えておくことが必要なのだ。海外ロングステイで失敗しないためには、ロングステイ先の現地調査を、異文化の様相を探求する視点で行うことが必要なのである。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント