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異文化の様相(1) 公衆便所・その2

マレーシアのペナン島はジョージタウンにあるランドマーク、65階建ての円筒形の現代的な建物は、コムタという。ここには、最上階近くに展望レストランがあり、その階下にマレーシア政府観光局のペナン支局がある。このペナン支局からもジョージタウンの町並みが一望できる。ここでは、ペナン島案内の日本語版の無料パンフレットやロングステイのためのビザ取得の案内書などを入手できる。

また、ビル内には、ペナン州の州庁も入っている。その他、各種商店やレストラン、ファスト・フードの店なども沢山入っていて賑わっている。マクドナルドも2店舗入っている位だ。つまり、公共性の高い建物なのである。

ところが、このランドマークのコムタのトイレは有料である上に、トイレにはトイレット・ペーパーがない。トイレを覗いてペーパーがないのに気付いたAkkiiは、トイレ使用料を集金していた女性係員にそれを告げて、ペーパーを要求した。するとその係員は、トイレでは紙を使うのは禁止されていると言うのだ。ゴムホースから水を出して、手で洗うのだと言うのである。

そして、トイレにはそのゴムホースがあるのだ。これを使って、用を足した後始末をしたAkkiiは、水流の調整に失敗し、パンツからズボンからビショビショにしてしまった。南国の熱帯であるから、水に濡れてひんやりした感触は心地良い。しかし、見た目にはお漏らししたみたいで極めて格好が悪い。

トイレから出て、女性係員に濡れたズボンを示し、“Its too difficult to wash my ……” と言うと、同情の眼差しながら係員は笑っていた。仕方なく、6階にあるマクドナルドでコーヒーを飲みながら、それが乾燥するまでの時間を稼いだ。気温が高いせいか、乾燥が早い。

タイやマレーシアなどでは、高級ホテルや外国人が詰め掛けるショッピング・モール以外では、公共の建物ですら、ほとんどの便所にトイレット・ペーパーは用意されていない。また、トイレにゴムホースがあるのは良い方で、水桶にヒシャクが置かれた方式も多い。公衆便所の様式が違うのである。

お尻の洗浄は左手使用である。したがって、公衆の目の届くところで、左手で食べ物を掴(つか)んで口に頬張ったり、左手で握手を求めたりすると、これらの国々では軽蔑の眼差しに会うので注意が必要だ。また、左手で子供の頭を触ったり、撫でたりすることは厳禁だ。それは、左手が不浄の手であるということばかりではなく、特にムスリム(イスラム教徒)にとっては、頭は神聖な部位とされており、これに他人が触れることを忌み嫌うからである。日本とこれらの国々では、文化が違うのである。まさに、異文化だ。

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