麻薬と高速道路はゆるい
日本はゆるい。それは、麻薬や覚せい剤の所持や使用、販売についてと、高速道路が原則的に有料であることである。
まず、麻薬や覚せい剤の所持や使用、販売についてである。中国やマレーシアなど、世界の多くの国々では、麻薬や覚せい剤に関する罪には厳罰をもって臨んでいる。その刑罰には死刑もあるほどだ。
これに比べて、日本の法定刑は、あまりにもゆるい。これが麻薬や覚せい剤についての社会的な気安さと規範意識のなさに結びついているのではないか。それが結果として、今を騒がす酒井法子容疑者や押尾学容疑者の逮捕劇に繋がっているのではないか。日本でも、これらには厳罰をもって対処すべきであろう。
次に、高速道路の原則的に有料であることについてである。世界の各地を自動車で走ってみれば分かるが、高速道路は通行料無料が原則である。米国やオーストラリアなどで一部の都市部に入る場合には、有料道路となっているところもある。しかし、G8に名を連ねる先進各国で、日本のように、高速道路が原則的に有料という所はない。
この高速道路は原則的に無料であるという世界で標準のこと、つまり、道路行政のグローバルスタンダードが、日本では行われてこなかった。それは、政権与党側に道路族や土建族と言われるような議員グループがいたりして、それが、道路建設に利害が絡む大手ゼネコンやコンクリート製造会社などの企業側の活発なロビー活動に応じてきたからだ。
多額の費用をかけて、道路や橋やトンネルを造り、巨額の資金を投入する。そして、その資金が企業側に支払われる。その資金の出所は、国民の税金であり、利用者から徴収した有料道路利用料金などであるのだ。特に、高速道路は、利用料金に依存して次から次へと新しい有料道路を造り続けてきた。
しかし、高速道路が有料であることは、国内における物流コストを押し上げ、結果として、諸物品の価格に跳ね返り、消費者物価を上昇させる。その上、コスト面で輸出品の国際競争力を弱める。
ところで、今まで、国民の道路行政に対する監視の目は、あまりにもゆるかったのではないかと思うのだ。政権与党の自民党側は、この道路行政にまつわる「しがらみ」に長い間、搦(から)め捕られて来たように思える。この政権与党側のしがらみと、政治的怠慢により、日本の道路行政はグローバルスタンダードから長い間、逸脱してきたように思えるのだ。
そして、今、この夏の「政権選択の選挙」と言われている衆議院選挙でこれが問われている。それは、高速道路の有料であることの問題が、野党の民主党側により、政治の俎上(そじょう)に載せられ、その是非が問われることになったからである。民主党は、マニフェストでこれを取り上げ、高速道路の原則無料化の方針を示した。
高速道路料金は、利用者に負担させるべきであると意見もあり、それが有料化の理由の一部ともなっている。しかし、政治的腐敗の温床ともなってきた道路建設費の高コスト化の原因をなし、物流コストの押上げ要因ともなってきた高速道路料金は、やはり、世界標準としての原則無料化が望ましいのである。ここは、民主党の基本理念が正しいと思うのだ。
今まで、高い高速道路料金を支払ってきた利用者も、その料金負担がなくなれば、その料金分は他の消費活動に使える。それは、結果として、内需を活性化することにも繋がる。これは、現在、時限的な制度であるETC使用の場合の原則1,000円の高速道路料金の制度が、各地の観光地などでの消費活動を活発にしている、と分析されていることでも分かる。
つまり、日本における高速道路料金の原則無料化は、内需を活発化させるとともに、物流コストを押し下げて、消費者物価を下げ、また、その他の諸物価も下げて、輸出における日本産品の国際競争力を高めてくれるのである。それは日本の有効な景気刺激策になると期待されるのだ。
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