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鳩山政権と米軍基地

 日本国内にある米軍基地や施設は、米国の不沈空母であるかのごとく、米国の意のままに利用され続けてきたように思える。日本国内における米軍基地と施設は、現在、合計で134箇所もあるとされているのだ。

 この米軍基地のうち、沖縄にある普天間飛行場の移設を、民主党は、この8月下旬に投開票が行われた衆議院選挙の際のマニフェストで公約している。

 米国の民主党のオバマ政権と日本の民主党の鳩山政権は、共に「チェンジ」を掲げて選挙戦を戦い、国民の支持を集め、政権に就いたのだ。その日本の民主党は、掲げたマニフェストに国民の多くの支持を集め、総選挙に大勝した。

 ところが今、日本の旧政権であった自公政権が米国と交渉していた内容で、この普天間飛行場の問題は、従来のまま妥結するように米国側は要求しているようにみえる。自公政権の負の遺産の後始末が民主党を中心とする政権に重くのしかかっている。新政権には、社民党も連立のパートナーとなっているから、なおさら舵取りが難しいだろう。

 しかし、日本の民主党は、日本における政権交代を実現させ、日米間の安全保障枠組み条約や地位協定についても、チェンジを模索しているのであるから、ここは独自の主張と路線で米国側と粘り強く交渉すべきであろう。岡田克也外務相や北沢俊美防衛相も、ここをしっかり認識すべきである。

この交渉には、「切望する」や「熱望する」、「強く望む」などの英単語を何度も使って、相手方に要求する必要があるのだ。交渉には感情表現が必要だ。なぜならば、心理学では「説得」は、「感情」の領域に分類されるからだ。これは単なる「理性」に基づく、理路整然とした論理だけでは「説得」ができないということである。日本人が外国人を相手にスピーチする場合に、これらの単語が極端に少ないのには危惧を抱くほどである。理論も必要だが、訴えがもっと必要だ。

 もしここで、鳩山政権が折れて、従来の既定方針を踏襲するようなことがあれば、今後、米国との交渉は一歩も進まなくなる恐れがあるだろう。新政権であればこそ、チェンジを掲げて、米国側と粘り強く交渉すべきである。先日、来日したオバマ大統領も、来日中に行ったスピーチの中で、日本が米国の対等なパートナーであると認め、新政権となった鳩山政権が、この問題で米国と再交渉をすることを当然のこととして受け止めているのだ。

交渉とは英語ではネゴシエーション(negotiation)である。これには、「(難所、困難を)うまく切り抜けること」という意味もある(ジーニアス英和辞典)。したがって、沖縄の基地問題が最初から結論が決まっていたのでは、交渉にはならない。鳩山由紀夫首相が、日米の閣僚級の作業部会について、メディアの前で語ったという「答えが決まっている作業部会を作る意味はない」との意見表明は当然だ。

昨今の日本を取り巻く東アジアの情勢は、第二次世界大戦終結後と大きく違って、中国の核武装と軍事大国化や覇権主義への傾斜、そして、北朝鮮の核武装などの大きな環境変化がある。日本は、現実の国際情勢を踏まえた安全保障と防衛力の再構築が必要だ。

来年は、米国との間の安全保障条約締結50周年を迎える。第二次世界大戦後65年も経過しながら日本全国に134箇所もの米軍基地や米軍施設を温存させていれば、日本の安全保障が米国頼りになっていることの是正が必要である。この時宜にあっては、日本の安全保障と防衛問題を再検証し、しっかりとした防衛政策と外交政策を遂行してもらいたいものである。

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