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破壊工作と民主党マニフェストの瓦解の懸念

マニフェストの元来の意味は「宣言」、「宣言書」だ(参照:広辞苑)。これを選挙戦で掲げられた場合は、「政権公約」と訳す。民主党は、この夏の衆議院議員選挙で素晴らしいマニフェストを掲げて戦った。そして、多くの国民が、このマニフェストを評価し、民主党を支持した結果、民主党が圧勝したのだ。

 しかし民主党は、政権発足後やっと3か月を過ぎたところで、このマニフェスト破りを当然の如く行おうとしているようである。鳩山由紀夫首相は、きのう、ガソリン税等の暫定税率の撤廃をしないで、それを維持することを発表した。それより以前には、高速道路の原則無料化の公約を反故(ほご)にすることも発表している。

民主党は、なぜ、こうも簡単にマニフェストに違反することを行おうとするのであろうか。これでは、非常にイメージが悪い。マニフェストは選挙戦において掲げられた政権公約なのであるから、守ることが求められる。事情が違ったから、御免なさいでは、選挙のためだけにイメージ戦のために掲げられたキャッチコピーと変わらないことになってしまう。

 民主党は、どうしてこの政権公約を履行しようとする姿勢を見せられないのだろうか。これでは、国民は何を信じて政党を選べば良いのか戸惑うであろう。そして、次の選挙戦では、民主党には厳しい目が注がれるであろう。また、それでは民主党の小沢一郎幹事長の言動に対する批判と相俟って、メディアの民主党批判のターゲットとなってしまう。それは、民主党に対抗する勢力側にとっては、望むところであろう。

 これは、民主党がメディアの世論調査結果等や政権を組む他党の言動に踊らされている結果なのであろうか。財源論と政権公約の実行は、次元が違う問題である。政権発足後1年間は、公約実現が優先される政策課題ではないだろうか。普天間飛行場の移設問題も、先が見えない中途半端なままである。

高速道路料金の原則無料化は、世界の先進国の趨勢である。この原則無料化は、長い目で見れば結果的に日本の物流コストを押し下げ、コンクリートから人への投資を推し進める。これに危機感を抱くのは、日本の産業の国際競争力に恐れを抱く海外勢力も存在していることも、忘れるべきではない。今、民主党政権が推し進める日本の郵政の民営化の見直し路線に、意見を言い出す外国勢があるほどである。ここは、日本が繁栄したり、国力を蓄えたりすることに危機感を抱いたり、歓迎していない国家が多いという国際政治の現状を認識すべきだ。

 高速道路を原則無料化にすることは、高速道路の渋滞を招くという意見は、現在、土日、休日に高速道路料金の原則1,000円を実施しているということを考慮しない意見だ。平日も含めて原則1,000円にすれば、渋滞は分散し、緩和されるのではないだろうか。

一部の国民や産業界は、マニフェストに反しても良いというような意見を言ったり、税収が減るからとか、車を使用しないからとか言って、ガソリン税等の暫定税率は撤廃しなくても良いと言ったりするかも知れない。また、高速道路は利用しないので、無料化は必要ないと言うかも知れないし、財源確保のためには、高速道路の有料制は維持すべきだというかもしれない。そしてまた、これが国の財政にとって良いのではと言うかも知れない。

 しかし、そんなことは、マニフェストを掲げる前から分かっていたことである。今、ここで民主党にとって大事なことは、政権公約を守ろうとする姿勢を見せることだ。このままでは、メディアに叩かれ、国民の目線が厳しくなり、多くの国民の支持を失うことが目に見えている。

 民主党が、いかに正論を述べて、国政の健全な運営を模索していようとも、イメージの悪化は避けなければならないだろう。民主党は、メディア戦略が陳腐過ぎるのではないか。正論を述べても、多くの国民を説得することは困難であることは、民主党が長い野党時代を経験していて分かっている筈(はず)である。民主党は、記者会見やテレビの前での演出効果を、もっと考えるべきである。また、反対勢力に対するネガティブ・キャンペーンも排除すべきではないだろう。攻撃は最大の防御なのである。

そして、政府が子育て支援関連の給付金の支給、つまり子供手当てを支給するにも、所得制限は設けるべきである。それは、国民に所得の再配分機能を政府が行うという姿勢を明示することになるからだ。多くの国民は、民主党に格差是正の政策も期待しているのだ。ここは、たとえ政権公約実行に無駄な費用が掛かろうとも、民主党が公約を実行する姿勢を見せなければ、多くの国民は離反していくであろう。

民主党は、他の政党やメディアの術中に嵌って、国民の離反を招くべきではない。そして、この離反を期待している多くの対抗勢力が国内ばかりでなく海外にもあることを忘れてはならない。それらの対抗勢力は、破壊工作を弄しながら、民主党のマニフェストが瓦解していく様を期待して眺めていることであろう。民主党は、政権交代に日本の将来を託した多くの国民の期待を裏切らないように、土性骨(どしょうぼね)を据えて、マニフェストの実効性を確保する方向で、しっかりとやるべきである。

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