世界旅行のための地球の科学 (その1)
人の脳細胞は、20歳を超える頃から急速に破壊され、減少していくという。そこで、ボケ防止のため、中学生でも知っている次の基礎知識を基に、海外旅行のための頭の体操をしてみようと考えた。
(1) 地球は1日24時間で1回転する。
(2) 1時間は60分で、1分は60秒で、1時間は3,600秒である。
(3) 円が1回転すると、360度回転したことになる。
(4) 光の速さは約30万キロメートル/秒であり、1秒間に地球を7回半周る。
(5) 音の速さは約340メートル/秒である。
光は、1秒間に地球を約7.5周する。つまり、光速は1秒で地球を約7回半も周るスピードなのだ。そして、光速は毎秒約30万キロメートルであるから、地球を赤道で輪切りにした場合にできる断面の円周を考えるとどうなるであろうか。光のスピードから考えれば、 30万㎞ ÷ 7.5回 = 4万㎞ となり、地球の円周は約4万キロメートルであることが分かる。
この約4万キロメートルが、地球の自転により24時間で1回転、つまり360度回転することで地球の1日24時間が過ぎる。ならば、赤道の表面が、ある一点を通過する時速はどうなるか。
4万㎞ ÷ 24時間 ≒ 1,666.7km/時間 となる。つまり、地球の赤道付近は、時速約1,666.7㎞もの、凄いスピードで回転しているのだ。このスピードを3,600で割って秒速に換算すると約463m/秒だ。これに比べ、音速は約340m/秒であるから、地球の自転による赤道付近の回転速度はマッハ1.3以上なのだ。回転による遠心力で人や物が宇宙に放り出されないのは、地球に引力があるからだ。
そして、この回転速度が上空を流れるジェット気流を生む。このジェット気流は、カタカナ英語ではジェットストリームであり、偏西風とも言わる。蛇行したりするが常に西風だ。これは、地球が西から東に自転しているのに、地球表面では固定されていない大気が、慣性の法則により、そこに留まろうとすることから生じる。しかし、この慣性も、地球の自転に合わせ、地表のデコボコなどにつられ、動き出すことになる。大気の流れが生じるのだ。そして、風となる。そして、この大気の流れ自体が慣性となり、ジェットストリームとなるのだ。(偏西風については、地球の自転によるコリオリの力の影響など、もっと複雑なメカニズムがあるようであるが、ここではこの位に考えておこう。)
数年前までは、この地球の回転速度に追いつける旅客機が運航されていた。それは、マッハ2以上のスピードで飛べた超音速旅客機コンコルドである。しかし、2003年10月にこれが運航停止となってからは、今のところ音速を超える旅客機は就航していない。したがって、太陽が西に傾いている場合、赤道付近で太陽に追いつこうと旅客機で出かけても、旅客機よりも地球の回転速度が速いため、太陽が先に行ってしまうのである。つまり、日が暮れて夜になってしまうのだ。そして、偏西風が邪魔するため、航空機の速度も落ち、燃料消費量も増える。
それでは、飛行機で日本から西側のイギリスやフランスやドイツなどのヨーロッパ方面にに出かける場合は、どのコースが良いのだろうか。これには北周りのコースが合理的である。それは地球儀を見れば分かる。ロシア上空から北極圏を越えるコースが最短コースとなり、偏西風の影響も少なくて済むのだ。東西冷戦時代、ロシアがソビエト連邦であった頃、旅客機は、ロシアのシベリア上空を通過できないために、ヨーロッパ方面へは、わざわざアラスカのアンカレッジを経由するという北周り航路が使われていた。その時代の苦労が偲ばれる。当時のアンカレッジ空港は、大勢のトランジットの旅行者などで賑わっていた。
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