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世界旅行のための地球の科学 (その2)

 頭の体操の続きである。地球は1日で1回の自転を繰り返している。太陽に対し、24時間で360度回転しているのだ。そこで360度を24時間で割ると1時間あたりの回転角度が分かる。つまり地球は太陽に対し、毎時15度のスピードで自転しているということになる。

 このため、世界の国々では、一般にそれぞれの国々を通る子午線を基準として、太陽が南中する平均太陽時間を昼の12時として標準時間を定めている。しかも、1時間15度の回転であるから、15の整数倍の子午線を基準としたほうが、イギリスのグリニッジ標準時や他国の標準時との時差を定めやすいため、一般にこの基準がとられ、その国の標準時を定める基準子午線としているのだ。

日本は、兵庫県明石市を通る東経135度を基準子午線として、日本標準時を定めている。そのため、グリニッジ標準時との時差はプラス9時間だ。135度を15度で割ると9となり、グリニッジより日本の方が日付変更線を通過した太陽が早く出るから、プラスの9時間となるのだ。

ところで、冬季オリンピックが行われたカナダのバンクーバーは、日本との時差は17時間で、基準子午線は西経120度だ。これは、120度割る15度で8であるから、このカナダ標準時とグリニッジ標準時との時差はマイナス8時間である。したがって、日本とバンクーバーとの時差は、8時間プラス9時間で、17時間であることが確認できる。

 これに対し、チリの現地時間で2月27日午前3時半過ぎに起きたチリ大地震は、日本時間の同午後3時半過ぎに起きたと報道されているから、チリ標準時と日本標準時との時差は12時間だ。これは、一方が夜半の午前0時であれば、他方が昼の正午0時であるという、丁度昼夜が逆になる図式の筈だ。

ところが、このチリを通る子午線は西経75度前後なのだ。これでは75度割る15度は5で、グリニッジ標準時との時差はマイナス5時間となる筈である。そうであれば、5時間プラス9時間で、日本とチリとの時差は14時間か、夏時間を考慮してもその前後1時間の違いとなるのが普通である。

これは、チリ大地震の発生時刻をメディアのニュース報道で見たときの疑問点であった。なぜ、太陽が南中する子午線から見たチリとの時差が14時間であるのに、実際の時差が12時間なのかは、はなはだ疑問であったのだ。

そしてその後、よくよく調べてみると、南半球にあるチリは、西経60度の子午線を基準子午線としていて、北半球とは季節が逆であるため、3月の第2週までを夏時間としているからであることが分かった。夏時間とは、時刻を1時間早めることである(ごくわずかであるが、例外もあり30分早めるという地域もある)。例えば午前10時であれば11時とするのである。これで納得である。

 世界には、このようにその国の政策により、標準時の正午を太陽が南中する時間より、大幅にずらせて標準時を定めている国々がある。そして、これらの国々に海外旅行に出かけた場合には、夜が明ける時刻も遅いが、夕暮れの時刻も遅いため、長い夜を楽しめるということになるのだ。

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