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オウンゴールと与党政権の安定

戦いで、味方の動作によって敵に与えてしまう得点のことを自殺点という。サッカーでは、これをオウンゴールという。今、与党の鳩山政権は、これ以上のオウンゴールは避けなければならないだろう。与党の民主党が、国民新党とともに連立政権を組んでいた、社民党の党首である福島瑞穂氏を大臣の座から罷免したことで、オウンゴールで相手方である野党側に得点させてしまったようだ。

このオウンゴールで社民党の政権離脱までに発展させてしまった。味方をここまで追い詰めるべきではなかったのではないか。その話をじっくりと聴いて、対策を立てれば良かった。拙速の感が拭えない。政策遂行には総論が大事だ。まず、日本の政治は日本国家の繁栄を企図し、国民の幸福と平和と安定を目的にすべきであろう。その手段や方法論として色々あるだろうが、この基本、すなわち原点に戻って考えるべきだ。社民党の言い分にはもっとものところがあった。

米軍海兵隊の普天間基地の移設問題は、移設先として考えられている辺野古の周辺では反対運動が盛んだ。沖縄全県としても大多数の県民は反対である。この事実は重い。たとえ鳩山首相が辺野古を移設先に考えたとしても実現の可能性は低いのではないか。これは連立政権を組む国民新党の亀井静香代表が言っている言葉通りだろう。

今夏、7月に予定されている参議院選挙戦が戦いであるのは紛れもない事実である。民主党も社民党も、お互いの選挙協力がなければ、味方の死票が増え、オウンゴールと同じ効果を招く。万一、民主党がこの夏の参議院選挙で惨敗したとしても、政権を維持する議席数は保たれるのである。臆することはない。

したがって与党政権は、メディアを使った世論工作に踊らされるべきではない。対抗勢力がメディアを使って他の政権を攻撃するのは常套手段である。それは、政権の弱体化を謀ることで、政策遂行能力を減殺させる効果をもたらすからだ。国政の安定には与党政権を維持発展させ、安定させることが肝要である。末期の自公連立政権のような、ころころと変る政権にしてはならない。鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長は、メディアに踊らされることなく、その職責を全うすべきである。民主党も一枚岩となって、政権を支えるべきであろう。

今年の夏で戦後65年を経過しようとしている。戦後100年までは、あと35年しかないのだ。国家100年の大計としても時間が経ち過ぎている。日本国内には、北は北海道から南は沖縄まで、米軍基地と施設が134箇所もあるのだ。いつまで米国の占領政策の延長状態を継続させる積りなのだろうか。米国頼みの今までの日本の繁栄は、基礎が脆い砂上の楼閣のようであった。ここは基礎をしっかりと固め、日本独自の安全保障と経済財政政策のもとで、国家の繁栄を目指すべきであろう。

メディアにより、鳩山政権の危機が煽られることで、普天間基地移設問題がどこかへ飛んで行きそうである。ここは、与党政権の安定のもとで、しっかりと国民の声に耳を傾けて、日本の安全保障と米軍基地問題をしっかりと捉え、米軍が日本に駐留することが、本当に日本に対する外国からの攻撃や侵略の抑止力になっているのかどうか、再検討すべきである。

日本に米軍が駐留していても、中国は、東シナ海の日本との間のEEZラインを侵害して、天然ガス掘削基地を設け、日本側に侵犯して日本の国家主権を侵害している。また、中国は、日本領海内を、原子力潜水艦を使って、頻繁に侵犯している事実がある。そして韓国は、在韓米軍の駐留を許していても、北朝鮮による魚雷攻撃により、韓国海軍の艦船が撃沈された。

これらの事実は、日本にとっても韓国にとっても、米軍の駐留が外国からの軍事攻撃の抑止力になっていない、という事実を示している。国家の安全保障は、その国家が最善の備えをすることが必要なのだ。これには、国家の政策を遂行する与党政権の安定が必要だ。オウンゴールをしているときではない。

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