棚から牡丹餅のドリアン
熱帯性気候でドリアンが生育する東南アジアには、「ドリアンを拾う」という言葉が、日本語の「棚から牡丹餅(ぼたもち)」という成句と同ような意味で使われている国々があるようだ。タイやインドネシアやベトナムなどだ。ドリアンは、実が熟すると自然に落果する。特にこの自然に落果したドリアンが美味いといわれている。
ところで、このドリアンは、熱帯が育むフルーツの王様だ。熟した果実は、強烈な臭いがするが、食べると凄く美味く、臭いが気にならない。果肉は固くてトゲトゲがある厚い果皮に包まれている。このトゲトゲは鋭く、レジ袋などは簡単に突き破ってしまう。解体するのには、鋭利な刃物が必要だ。そして要領が要る。中には歯が立たないほどの大きな種が内包されている。
マレーシアのペナン島の北西部には、このドリアンが自生している地域がある。ここをレンタカーでドライブしていて、落ちていた大人の頭大のドリアンを見つけ、拾い上げたことがある。天を仰ぐと、道路を覆う熱帯性の樹林の中に、ドリアンの大きな実がぶら下がっているのが見える。そして、道端ではこのドリアンが落果して、茶色に変色したり、白茶けて萎(しぼ)んだりしているのにお目にかかれる。運が良ければ、落果したての熟したドリアンに与(あずか)ることもできるだろう。
このドリアンを拾えば、まさに「棚から牡丹餅」だ。ただし、ドリアンを普通のホテルに持ち込んだりするのはご法度(はっと)であるので要注意だ。その強烈な臭いが、部屋の隅々にまで浸みこんで、なかなか取れないからだ。部屋の使用が長期間、不能となる場合がある。ドリアンをホテル内に持ち込んだ場合、損害賠償を請求されることもあるという。こうなったら「棚から牡丹餅」も、クワバラ、クワバラだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント