フェイクに注意! (その3)
フェイクに注意! (その3)
ミャンマーと言えば、昔はビルマと呼ばれていた。映画にもなった横山道雄著作の『ビルマの竪琴』でお馴染みの国だ。今、このミャンマーが政情不安と治安悪化で揺れ動いていることが最新のニュースで伝わってくる。少数民族カレン族など2万人近くが避難民となり、モエイ川を越え、タイ側に流入しているというのだ。この地はメーソートというタイ北部の町で、チェンマイからは南方約200キロにある。
ところで、チェンマイにステイしていたとき、チェンラーイからメーサーイ、ゴールデン・トライアングルと旅行して、その横文字が看板としてぶら下がっている撮影のポイントで数枚の写真を撮った。それを眺めるたびに思い出す。そこからメコン河を眺めたとき、この地の悠久の歴史と民族の興亡に思いを致した。
タイ側の国境の町メーサーイから、ミャンマー側の国境の町タチレイの間には、国境に架かる小さな橋がある。歩いて渡れるのだ。ここを訪ねたときは、パッケージツアーで行ったチェンマイからの航空機延長でのオプショナル・ツアーだった。ツアー会社の現地ガイドに申し込み、連れ合いと2人だけの参加であったが、5人乗りセダンタイプの小型乗用車に揺られながら長距離をドライブしたのだ。現地ガイドが運転手も努めた。
タイからのミャンマー入国を楽しみにしていたので、パスポートにタイ出国とミャンマー入国の出入国の記録のスタンプを押されるのを楽しみにしていた。タチレイでは、サムローに乗って、立派な寺院を訪ね、そこの立派な仏像の下で記念写真をたくさん撮った。
ところで、ここでは花売りをしていた子供達数人に囲まれ、危うくウエスト・ポーチの財物を奪われそうになった。親が近くで子供たちに指示しているような気配があった。しおれた花束を持った子供たちが間違って観光客を押したように装い、別の幼児数人が大人の前にはだしの素足を突き出す。押された勢いで観光客は避けきれずに、いたいけない子供のどれかの柔らかい足をグニューッと踏んでしまう(子供は痛いだろう)。そして、びっくりして詫びる。そして、注意が散漫になった隙に、別の年長の子供がウエスト・ポーチのファスナーを開けて、中の財物を奪うという寸法である。どうやら、子供達の花売りは、最初から集団スリのためのフェイクであったようだ。
ところが幸いなことに、当方はそういうこともあるだろうと考えて、ファスナーの引き手には細いロープをかけて結んでおいたのだ。その後、すぐにウエスト・ポーチを点検してみたところ、これが無理に開けられたように少し開いて歪んでいたのだ。物は盗られていなかった。クワバラ、クワバラであった。世界には、ケッチャプ振り掛けフェイクや小銭ばら撒きフェイクなど使った、巧妙なスリ集団や置き引き集団が多いのだ。詳しくは、海外安全ホームページの海外邦人事件簿で。URL:http://www.anzen.mofa.go.jp/jikenbo/jikenbo59.html
なお、外務省の海外安全ホームページのトップは次のURLである。そのトップ画面の左側にある目次の項目になかなかためになる情報があるので、こちらも検索してみることをお薦めする。URL:http://www.anzen.mofa.go.jp/
先の話に戻る。ミャンマー側からの帰りに、タイの国境を通過して暫くしてから、現地ガイドからパスポートを返してもらった。ところがそのパスポートを後で点検してみると、出入国のスタンプは、そのどちら側の国の分も押してなかったのだ。ガイドには、ミャンマーの入国手数料やパスポートのコピー代などを払っていたのにである。つまり、出入国スタンプは、タイの出入国とミャンマーの入出国の4個が抜け落ちていたのだ。2人分の合計では、8個のスタンプが押されていなかったのだ。
そういえば、そのガイドは何やらイミグレーションの係官とは親しい関係にあるのか、タイ側でもミャンマー側でも、イミグレーション・オフィスに入ってから暫く出てこなかった。賄賂でも使って出入国手数料を山分けでもしたのであろうか。こんなことができる国情なのであろう、とそのとき思った。これもフェイクだ。でも、何たるフェイクだろうか。
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