ジェンダーと区別――生来の性差
男女の恋の指南書としても、お薦めしたい一冊がある。セックスについては、電車の中で隣の人に読まれたら恥ずかしいと思えるようなことも、科学的に堂々と書かれている。かつてベストセラーにもなったアラン・ピーズとバーバラ・ピーズの夫婦共著による後記(1)の本、『話をきかない男、地図が読めない女』であるが、改めてここにお薦めしたい。サブタイトルに「男脳・女脳が『謎』を解く」とある。この本は、男女の違いの現実をよく観察し、それらを科学的見地から分析して、巧みに表現している。「恋に落ちる」メカニズムや、「幸福な生活のためには――女に地図や市街図を読ませてはいけない」ことなども書かれていて、たいへん面白い。
この本を読めば、男女間において、ジェンダーの違いを認識し、それ相応の区別がなされる必要性を強く意識することになるであろう。男勝(まさ)りの女性も多くなったが、女性は女性としてのジェンダーを主張したほうが、より賢明であることがこの本の内容から推認される。もちろん、主張の相手方は男性側である。 なお、「区別」とは「差別」ではない。ここで言う「区別」とは、客観的科学的データに基づき、社会的に認知された「区別」である。
また、この本を読んで、男女の違いを頭にたたき込んでおけば、男女間のいさかいが多少なりとも減少し、多くの破局が未然に防げるかもしれない。――― ただし、これは、Akkiiの希望的観測かもしれないが・・・。
次に、渡部昇一先生の著作である後記(2)の本、『世界に誇れる日本人』も一読することをお勧めしたい。その第二章には、「――世界に影響を与えた『源氏物語』の作者」と表現されて、紫式部が取り上げられ、その中には、「男も女も一緒に文学を作った上級サロン」の項の中で「要するに神様といえども男女相補性をもち、男女同権とはいわないまでも、男女共同参画のようなことを神話の上でやっているのである」(同書P.50)と述べられている。また、日本の平安時代中期(学説によると初出は1001年)に、『源氏物語』という世界で最古の大小説が、女性作家によって著述されたことが賛嘆されている。
(1)アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ共著 『話をきかない男、地図が読めない女――男脳・女脳が「謎」を解く――)』、藤井留美・訳、文庫版¥667(税別)、主婦の友社、2002年
(2)渡部昇一著 『世界に誇れる日本人』、PHP文庫、¥533(税別)、PHP研究所、2007年
前記(1)と(2)の書籍は、共に文庫本であり、廉価であるが、学術書として、十分に参考文献たり得る中身の濃い本である。日ごろ携行しているバックの片隅にでも入れて、暇のあるときに一読することをお勧めしたい。特に(1)は、恋愛の指南書としても、また、夫婦円満生活の手引きとしても、活用したい一冊である。
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