LCCの台頭で大手旅行会社の業績低迷?
日本の流通業界では、百貨店が低迷し、スーパーとコンビニが活況を呈しているようだ。これを旅行業界でみてみると、日本の大手旅行会社はやはり苦戦しているようだ。
格安な費用で楽しめる海外旅行を計画するために、大手旅行会社数社の海外主催旅行のパンフレットやリーフレットを採り取り集めて、比較検討してみた。そして、驚くべき内容に目を瞠った。まず、ある大手旅行会社が発行したA4版の海外旅行広告の中で、小さな文字で表現されている次の文言だ。
「上記日程からの別行動、減延泊、航空会社、便名の指定・希望はお受けできません。」
この文言が表現されている大手旅行社の海外旅行は、日程を4日、5日、6日のものから選択できるものであった。そうであれば、人にはいろいろな都合が発生し、法律的にも事情変更の原則というものが考えられるのであるから、6日の旅程を選択していても、4日以上の日程であれば、減泊に変更できてもよさそうなものである。また、4日の旅程を選択していても6日の日程に変更できてもよさそうなものである。しかし、それはできないという。果たして、そこまで旅行者を拘束していいものだろうか。
この旅行者を画一的に拘束する方式の海外旅行は、日本独特の旅行業界の方式らしい。海外旅行先での旅行者の行動を画一的に制限し、旅程を拘束するのは少なくとも先進国の旅行会社の方式ではないらしいのだ。しかし、先進国であるはずの日本の旅行会社は、旅行参加者を全て自らの利益システムの中で動かし、利益を得ようとしてやっきになっているようだ。
その証左を見つけるためには、海外旅行先で現地の英語ガイドツアーに、日本の旅行会社やその息のかかった現地旅行会社を通さないで、直接申し込んで参加してみるとよい。まず、旅行費用が日本語ガイドツアーに比べて3分の1から2分の1であるのに驚かされる。
その上、日本の旅行会社が勧める日本語ガイドツアーでは、欲しくもないのに買い物に長時間付き合わされ、拘束されることが多いが、世界各地からの参加者が集う英語ガイドツアーでは、そういうことがない。これがグローバルスタンダードの海外におけるオプショナル・ツアーなのであろう。
日本の大手旅行会社にも、もっと旅行参加者が自由に楽しめる海外旅行を催行してもらいたいものである。日本の旅行会社が募集する海外旅行だけが、世界各地で、割高なオプショナル・ツアーを勧め、ホテル宿泊料金も1室料金制ではなく、1人料金制で旅行者に高額な負担を強いるなどは、あってはならないと思うのだ。
さらに、海外旅行の費用は、旅行会社が催行する場合でも、航空券と現地旅行手配の費用に2分できるとされているのであるから、航空機延長とも表現される「帰国日延長」は、旅行者の自由意志で選択できることを原則とすべきであろう。
帰国日延長は、航空会社は一定の費用を払えば、一般にその変更を認めているのだ。この航空機変更のための費用は、旅行者が負担することになっているのに、その費用を負担しても「変更できない」としてまで、海外旅行を楽しもうとする日本国民を拘束するのは、いったい何を目的としているのだろうか。
これでは、LCCといわれる格安航空会社が台頭してきた昨今、融通のきかない大手旅行会社の業績は、大きく低迷することが避けられないだろう。
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